Jason Fried Interview その2
インタビュー日付:2013年5月1日
元ネタ:http://thegreatdiscontent.com/jason-fried
“お金を稼ぐことではなく、人々が払ってくれる代金以上に価値のあるものを作ることができる。私が提供するものを、人々はお金と交換する、私はその支払った代金以上の物を与えたいと思う。”
Was creativity a part of your childhood?
(子供のころから創造性はあった方ですか?)
幼少のころはアートの時間が大嫌いでした。その理由は、私の母親が月一で学校に絵を教えに来る、“アートおばさん”だったからです。
That’s embarrassing when you’re a kid.
(子供からすると恥ずかしいですね。)
その通り!もちろん母親のことは大好きですが、母親が学校に来るのはまた別問題です!そんなこともあり、子供のころはアートが嫌いでしたが、物を作ることは好きでした。Lego、Tinker Toys、建設セット(子供用)等のおもちゃで良く遊びました。もっと幼いころはお絵かきも良くしていましたね。その頃は、自分に絵の才能があると思ったり創造性があるとは一度も思ったことはありませんが、物を作ることは楽しかったです。無から何かを作り出すことにとても惹かれます。本当は、木材加工や鉄加工ができるようになりたかったのですが、どうやら自分はソフトウェア“加工”が得意みたいです。
今は自分にも多少の創造性はあると感じています。私は昔から計画的で構造的は人間ではありませんでした。いつもゆるく、自由でその時々で自分がベストだと思う選択をしてきました。決められたこと、あたりまえのことを受け入れられず、より良い方法を探してしまうという観点では、私にも創造性があるのかもしれません。
Did you have an “aha” moment along the way when you knew that this was what you wanted to focus on?
“育っていくうえで、自分がやりたいことはこれしかない!と確信した瞬間はありましたか?”
やっぱり一番そう感じたのはAudiofileプログラムを学生の時に作った時ですね。“家の住所を記載したので、気に入った方は20ドル送ってください”というテキストファイルを含んでおいたのですが、本当に送ってもらえるとは思っていませんでした。それからしばらくして届いた封筒はドイツからでした。もちろんドイツには知り合いもいなく、中を開けてみると、“ありがとう。あなたの商品をとても気に入っています。”という短いメッセージと20ドル札が入っていました。その瞬間は“これしかない”と思いましたね。自分の悩みも解決され、同時に他人の悩みの解決策にもなりえると思いました。この日以来、現在までずっとおなじことだけを思っています。
お金を稼ぐことではなく、人々が払う代金以上の物を作ることができる。例えば、“ある物”に20ドルを代金として支払った場合、“ある物”は最低でも21ドルの価値がないといけないと私は思います。私は人々が支払った代金以上に価値があるものを提供したいのです。
Have you had any mentors along the way?
(現在までの道のりの途中で良き指導者、助言者はいましたか?)
父からはいつも何かを学んでいました、若かったころは特に。父はとても頭がよく、優秀なビジネスマンです。親戚にも何人か起業家がいましたし、自分にもその血が流れていると思うことはあります。
他にも、色々な人に出会いたくさんのヒントをもらいました。
そしてもちろんで出会ったことはないですが、とても影響を受けたり、尊敬する人たちもいます。
Richard Branson、Janes Dysonの2人は特にそうです。意外に聞こえるかもしれませんが、Judge Judyも尊敬する一人です。彼女はとにかくありのままを言います。これは一見簡単そうですが、実際はなかなかできることではありません。ハーバード大学教授で”The Innovator’s Solution and the Innovator”s Dilemma”の筆者であるClayton Christensenも尊敬しています。彼は“考える”ことの達人です。今あげた方々は、一般的に言う“恩師”とは少し違うかもしれませんが、自分に多大な影響を与えてくれたことに間違いはありません。
そしてもちろん、仕事を共にしている仲間たちにはいつも新しいことを学ばせてもらっています。
Has there been a point in your life when you decided to take a big risk to move forward?
(これまでの人生で、前進するためには大きなリスクを背負ってでもしなければならない決断をされたことはありますか?)
私はどちらかというと冒険的な人間ではありません。むしろリスク回避型で、物事もゆっくり進めます。Basecampに関しても、もともとウェブデザインをメインの仕事としながら、その傍らでやっていたことです。Basecampはたまたま成功しましたが、“よし、これ一本で行くからウェブデザインはやめる!”ってことはしていません。リスク回避を少し行い、大きなリスクは負いませんでした。私はこれまでずっと慎重に、忍耐強く、ゆっくりと物事を運ぶようにしてきました。これは良く他の人が言うことと違っているかもしれません。起業家精神を語る際に都市伝説的に言われているのが、大きなリスクを背負う覚悟、又は背負った人ほど大きな成功をつかむことができるといわれていますが、これが事実かどうかは疑問です。
Are your family and friends supportive of what you do?
(家族や友人は、あなたのしていることに協力的ですか?)
はい。長い間、というより今もだと思うのですが、両親は私がやっていることをあまりちゃんとは理解していないと思います。ただ、常に応援はしてくれています。今までの人生ずっとそうでした。高校1年生の頃はバスケ部に入っていたのですが、結局ずっとベンチを温めていました。それにもかかわらず、両親は全ての試合に応援に来てくれました。その後は陸上をやり始めて、それも両親は必ず見に来てくらました。陸上は大学でも続けていましたが、アリゾナまではさすがに両親も来ませんでしたね。このような経験から、いつでも両親は私を支えてくれているという安心感があり、これはとてつもなく自分にとっては大事なことです。
友人に関しては、そもそも両親のような心の支えを求めているわけではないので、この質問にはうまく答えられませんね。
Do you feel a responsibility to contribute to something bigger than yourself?
(何か大きなものに貢献しなければいけないという責任を感じることはありますか?)
はい、でも具体的なものはまだわかりません。37signalsで良くやろうとしていることは、私たちの経験や、新たに学んだことを他の人と共有することによって、少しでもその人の役に立てばと思っています。私は起業家に新しい会社経営の考え方、つまり細く長くの精神を伝えたいと思っています。このような考え方で、他人に影響を与えられたら本望です。私の成功体験をもっと多くの人にも体験してほしいですね、より穏やかな道なはずですし。
でもこのようなことはインパクトに欠けます。社会にできるだけ大きな方法で恩返しはしたいとおもっているのですが、まだその答えにはたどりついていません。
It takes a long time to figure that out.
(その答えを出すのには長い時間がかかりますね。)
そうですね。私は色々なチャリティーや運動に協力していますが、あまり焦点があっていません。自分がどのように多くの人の為になることができるのかを、これから考えていきたいです。チャリティーやボランティアのみが大勢の人々を助ける唯一の手段と考えがちですが、優れたビジネスを作ること、優れた商品を作ることも一種の社会貢献です。私たち37signalsもそうです。私たちの商品で、いくつもの会社がよりスムーズ、効率的にビジネスができるように少しでも役に立っていれば幸いです。
Are you satisfied creatively?
(創造的には満足していますか?)
満足していると同時に焦れったい気持ちもあります。自分が正しいと思うものを作れていることには満足しています。そういった意味では要求不満はありません。この業界にいる多くの友人たちはアイディアがあるにもかかわらず、理由はともあれアクションが取れなく要求不満を感じている人は多いです。私の場合は、アイディアもやりたいこともたくさんあるのに、時間、または現時点ではまだ知識が足りなくてできないことに多少イライラすることはあります。
Where do you see yourself in 5 to 10 years?
(5年後、10年後の自分はどうなっていますか?)
その質問に対して答えることはできません。私は”現在”の方に集中しているので。私は数カ月単位でしか先の事を考えません。今の仕事について、自分は満足しているのか、等と。進みながら新しい発見もしますし、自分が将来何にパッションを感じるかなんて、予言するのは無理です。
AmazonのJeff Bezosはこのように言っています:”自分が5年後、10年後に何に興味を持つか必ずしも分かるわけではない。ただ心をオープンにして何に対してもそのチャンスを与えること、自分で自分の限界を決めないこと”私もこの言葉に完全に同意します。
※【Jason Fried Interview その3】は来週金曜日(7月05日)アップ予定です。