そうだ、ベルリンに行こう。5年越しのWordCamp Europe でShifterの成長を見てきた。
みなさんこんにちは。 先日勢い余って6月20-22日にベルリンで開かれたWordCamp Europeに参加してきましたので、写真中心に振り返ってみたいと思います。
世界最大規模と聞くWordCamp Europeにはいつか行ってみたいと思っていたところ、ある展示会の出張帰りで若干テンション上がっているところに「ポーランド航空があと一席だけ空いてるで」と悪魔の囁きがあり、浮かれていた私はまんまと「いっときますかw」と軽々しく4日後のワルシャワ経由ベルリン行きのチケットを予約してしまったのです。
しかしそのときすでにWordCamp開催一週間前でチケットは売り切れ。
困っていると、「知り合いがチケットの譲り先を探してるで」との新たな囁きがあり、よく分からないままムンバイの知人にコンタクトして運良く参加可能になったのでした。
なぜ5年越しなのか
自分もコミュニティイベントのWebサイトでAMIMOTOをスポンサー提供してもらった経験があり、1,000人規模のイベントのスパイクでさえAWSの一番小さいEC2インスタンスで捌けるパフォーマンスの凄さですっかりファンになっていました。
しかし2014年のre:Inventで彼らと合流したとき、海外展開で直面した厳しい現実について語っていて、AWSやオープンソースなど、一見グローバルで戦える素地を持ったAMIMOTOでさえ海外で展開するってカンタンじゃないんだなと身につまされたのをよく覚えています。
即実践と進化
その後2016年に開催されたWordCamp Europeでの吉田真吾さんのレポートにあるように、当時J2デザインのDan (現デジタルキューブCOO)らがAMIMOTOを含むプロダクトのリブランド後、正式にジョインして活動を開始した結果、のちに米国での大型コンペに勝つなど欧米でのシェアを拡大します。
さらに同じWordPressのホスティング分野の中で、サーバーレスアーキテクチャやスタティックサイトジェネレーターが融合した全く新しいアプローチでShifterを生み出しました。
吉田真吾さんのレポート
同じく2016年の年末、またもやre:Inventのために訪れていたラスベガスでデジタルキューブメンバーと合流した際には、彼らはセッションの合間を縫って昼夜Shifterの追加開発の真っ最中でした。
そしてre:Inventが終わるのを待たずしてフィラデルフィアで開催されるWordCamp USに向かう姿を、2年前の様子を思い出しながら眩しくも羨ましいような気持ちで見送ったのを覚えています。
自分を含む日本からの多くの参加者がre:InventでAWSの迫力に圧倒されている中、彼らが淡々と海外で進めている活動はいつも独特の存在に見えました。
そんなこんなで2018年、縁あってデジタルキューブにジョインすることになり、今回の機会が偶然悪魔の囁きによってもたらされたのです。
WordCamp Europe で見たかったもの
自分が興味あったのは以下の3点です。
世界最大規模のコミュニティイベント
WordCampは長くコミュニティ運営の参考にしていて、AWSユーザーグループのAPAC地域での交流のベースにもなっているので、いつかは最大規模かつ国際色豊かな大規模イベントを実際に体験してみたかったのです。
WordCamp Europe 2019 After Movie
youtu.be
参加者は開催地のヨーロッパ、アジア・アメリカ・アフリカなど様々で、ボランティアのみなさんは非常にプライドを持って持ち場に当たっているのが印象的です。
自分がチケットのトラブルで受付ができなかった時でも皆さんスムーズかつ暖かい対応をしてくれて、改めてWordPressのコミュニティが大好きになりました。
行きの航空会社でロストバゲージしてしまい、何時間も広い空港をたらい回しに歩かされた経験とは正反対でした(これもいい思い出ですが)。
世界で最も利用されているWordPressが持つビジネス規模
いまや世界のWebサイトの約30%はWordPressで動いているとはよく聞きますが、実際ビジネスとしてどうなのか、自分の目で見たかったのです。
これはイベント規模ではなくスポンサー企業が抱えるユーザーやクライアント、参加している一流のデベロッパーの顔ぶれなど、日本国内やアジア地域だけで見るよりも明らかに分かりやすかったです。
デジタルキューブがどう進化しているのか
先に挙げた吉田さんのレポートやDanの語った抱負がチームにどう実装され結果を出しているのか、今回のWordCamp Europeがデジタルキューブにとってどんな意味を持つのか実際に見てみたかったのです。
まずDanが話していたCOOとしての抱負を一つ一つ実行していった結果、展示物のグラフィックを含む全てのメッセージが明確になり、3年前のWordCamp Europeで10分かかっていた自社プロダクトの説明が3秒で理解されるほど進化していました。
これは自分も展示ブースに立って話す中で身をもって体験できました。
- WordPressのエコシステムを超えたポジショニング(NetlifyやGatsbyJSなどSSGとのインテグレーション)
- テックタッチによるアプローチとコミュニティに貢献できるマーケティング活動による適切なリーチ
- カスタマーサクセスでのオンボーディング支援
また今年Danの元同僚のJasonがデザイナーとして加わった結果、これまでのどの展示ブースでも見たことがない反応がありました。
訪問者は会場の遠くからShifterを見つけ、まずデザインに興味を持って「すごくいいね!」と話しかけてきます。
次に「詳しくサービスの話を聞かせてよ!」と心を開いて真剣に耳を傾けディスカッションしてくれます。
これは単にQRコードを読み取って連絡先を獲得するKPIではなく、私たちにとって大切な熱狂的なファンとエンゲージするための戦略とマッチします。
印象深かったのは、他のスポンサー企業の方から「僕らは君のコンペティターだけど、きみらのマーケティングはすばらしいね」と何人も話しかけてくれました。
デジタルキューブは以下にあるDanの自己紹介LTで紹介している日本のスモールカーのように、小さなブースで、チームのアイデアとそれを実現する実装力、そしてJasonによる考え抜かれたデザインの力で異彩を放っていたのです。
Jasonはイベント後に、「デジタルキューブがデザインシンキングを理解してるからできたんだよ。ふつうならこんなことなんの価値があるのって言われるんだよ。」と笑っていました。
Danの自己紹介LT
My personal story of why I joined the team.
danielolson.me
Jasonの自己紹介LT
Computational Design and Introducing myself.
speakerdeck.com
課題
とはいえShifterはややバランスが取れてきただけで、駆け出しの状態に変わりはありません。
どんなにすごいアイデアで技術が揃っていても、ただ作るだけでは誰も見つけてくれないのです。
世界で売るための活動
サービスの利用者が誰なのか?チームが顧客を理解し、プロダクトがその人に確実に手元に届くよう道筋を作り、オンボーディングを確実にするためにその人の目になってプロダクトを磨きあげ、その人の言葉になってサポートする。
Jasonのスライドにもあるように、プロダクトを生み出したチームは、改善し届け続ける行為も他人任せにしてはいけないのです。
言うは易しですが、結局はチームで現場のフィールドに出て、身をもって学ぶことでしか成長はないのかもしれません。
5年越しで横で見てきたデジタルキューブと前線で見た景色で感じたことは、たくさんの失敗をしながらも100回の視察よりも1回の真剣勝負が大事だということです。
何度視察や勉強会に参加しても決断や実行の先延ばしでしかなく、前例も評価軸もない中で前進し続けるにはとにかくフィールドに立って即実践するしかないのでしょう。
Shifterも少しずつファンが増えてきて、ありがたいことに多くのフィードバックをいただいています。
Thank you to Daniel Olson for introducing me to the #WordPress-centric static website universe of @GetShifter — this is a v cool system.
— John Maeda (@johnmaeda) 2019年6月30日
Photo: Screen capture of https://t.co/95neqDxbRX showing a grid of articles with a Conus shell, geometric figures, and hand-drawn figures. pic.twitter.com/4X4dWne9VT
しかも各国のWordCampコミュニティや友人たちによってトップページの翻訳までしていただいています。
これからももっとみんなをハッピーにできるよう貢献していきたいです。
それでは!